毎日の生活に必要な排水管。普段は目立たないですが、実は大変工夫されています。排水管の途中には水が溜まる部分があります。これを「排水トラップ」といいます。
溜まっている水を封水(ふうすい)といいます。
悪臭などを防ぐ排水トラップ
排水管内に排出される水には、さまざまな汚物が混入しています。
これらは配水管などの内壁に付着して、
悪臭を放つ有害ガスや、害虫などを発生させる原因となります。
また下水道には揮発性の高いガソリンなどの流入も珍しくなく、
これらが排水管内を上昇して建物内部に進入してくると、
住環境を汚染したり場合によっては爆発などの事故につながる恐れもあります。
こうした事態を確実に防止するため、
排水設備の配管の途中に設けられた仕組みが「排水トラップ」です。
排水管の途中、あるいは器具の中に水を溜め、
害虫や悪臭などを進入させないトラップ(わな)の働きをしています。
排水トラップの種類
排水口へ水を流すと、トラップに溜まった水の上にある空気が、流れ込んだ水とトラップの水に挟まれる形になり、トラップの水が押し出されて排水管へ流れていきます。
流れ込んだ水がトラップの水となって留まるのでトラップの水は入れ替わり、元の水位まで満たされる仕組みになっています。これをサイフォンの原理といいます。排水トラップはサイフォン型と非サイフォン型に分けられ、以下のようなものがあります。
S字トラップ(サイフォン型)
P字トラップ(サイフォン型)
Uトラップ(サイフォン型)
わん型トラップ(非サイフォン型)
ドラム型トラップ(非サイフォン型)
管構造のS字、P字およびUトラップは、サイフォンの原理によって中の水が入れ替わるため、自動洗浄機能を持ちます。
S字トラップは洗面台の排水管として採用されることが多く、縦方向に設置され、床方向へ流れていく構造になっています。S字部分へゴミが溜まりやすく、つまりだけでなく毛細管現象も起こるので、封水がなくなる破封を起こしやすいという特徴があります。
P字トラップは上から流れる排水を横方向へ流す構造になっており、横から見るとPの形に見えます。排水管が床ではなく壁につながっているので、床のスペースを広く取れるのが特徴です。
Uトラップは水平に水を流す排水管で、U字型です。U字の谷部分に封水が溜まるため、ゴミも溜まりやすい構造といえます。屋外で使用されることが多い排水管です。
わん型トラップはキッチンで使われることが多い排水管で、お椀のような形状をしています。わん型トラップを被せることで、すき間から入り込んだ水が封水を押し出す仕組みです。
油や石鹸カスなどで汚れがちなわん型トラップですが、取り外しができるのでお手入れはしやすいです。
ドラム型トラップは多くの封水を溜められる構造なので、破封しにくいという特徴があります。一方でお手入れがしにくい構造なので、髪の毛などの異物が溜まりやすいです。家庭では、お風呂の排水管として採用されます。
排水トラップはいつも清潔にしましょう
床の排水器具には、通称「わん」といわれる釣鐘状の物が入っており、
床に流した水の一部が常に溜まるようになっています。
「わん」の外れや損傷、または封水がなくなっていると、
トラップの機能がなくなってしまいますのでお掃除の際はご注意ください。
また髪の毛、糸くず、ヘアピン、油ものなどは、
排水管のつまりや封水がなくなる原因にもなりますので、
流さないようにし排水トラップはいつも清潔にしましょう。